書誌詳細
アラシガオカ 001/イワナミ ブンコ 嵐が丘 上
書名
アラシガオカ 001/イワナミ ブンコ 嵐が丘 上
著者
ブロンテ エミリ ジェーン/カワシマ ヒロミ/Brontё Emily Jane エミリー・ブロンテ∥作 河島 弘美∥訳
出版者
岩波書店
出版年月日
2004.02
配架場所
エディットタウン / ブックストリート / 6-E-09
閲覧
可
その他
レーベル
岩波文庫
言語
日本語
ISBN
9784003223314
所蔵情報
登録番号
860002137
大分類
ET6:男と女のあいだ
中分類
ET6-11:傑作ラブロマンス
小分類
ET6-11-04:憎しみと紙一重
タグ一覧
千夜千冊
斎藤勇は“Wuthering Heights”をよくも「嵐が丘」と訳したものだ。こういう翻訳力は近頃はとんとない。 念のため、「嵐が丘」は物語が進行するあいだ、たえず凄まじい悲劇に見舞われるアーンショーン一族の大きな館の呼び名であって、土地の名前ではない。「二百十日閣」とか「野分ハイツ」とか、近江に移せば「比良八荒屋敷」といったところであろうか。 ワザリング(wuthering)は、物語のなかでも「嵐のときにこの丘のようなところに吹きすさぶ風の怒り騒ぐさまを形容した、たくみなこのへんの方言である」と説明されているように、風の様態のことをさす。ケイト・ブッシュの「嵐が丘」はその風の吹くさまをよく唄っていた。日本でいえば宮沢賢治が採用した越後地方の「風の又三郎様」であろうか。 この屋敷を舞台にエミリー・ブロンテがものすごい物語を展開する。これ一作しか書かなかった痩せた女性の手になるものとはとうてい思えない。 姉のシャーロットが書いた『ジェーン・エア』に触発されて、妹のアンの『アグネス・グレイ』と競って書いたということになっているが、どうして、信じがたいほどに深い構築力と想像力である。サマセット・モームは世界の十大小説に入れたし、エドモンド・ブランデンは『リア王』『白鯨』と並ぶ英語文学屈指の三大悲劇とさえ絶賛した。まだ『嵐が丘』が発表されてまもないころのラフカディオ・ハーンも「凄みのある想像力」とほめた。 たしかに、この物語は想像力が生んだ傑作である。すでに夥しい数の研究書が出ているが、そのいずれにもエミリー・ブロンテがほとんどモデルをつかわなかったこと、参考資料が極端に少なかったこと、誰のヒントももらっていないこと、エミリーにはこの物語のどんなエピソードにあたる体験もなかったろうことがあげられている。つまりこれは「経験の産物」や「調査の勝利」なのではなく、ひたすらに「想像力の飛翔」だけで生まれた物語なのである。もっと見る
読書メーター
青乃108号
中学生の時に読んだ。確か新潮文庫版だった。生きてるうちにもう一度読みたいと、ずっと思っていたのだが数多くの翻訳が出ており、どうも翻訳によって大きく物語の印象が変わってしまうらしく、迷った挙げ句この版にした。こんな話だったっけ。恐ろしい程に記憶に残っていない。ヒースクリフ、こんな酷い男だったっけ。キャサリン、こんなエキセントリックな女だったっけ。まだ上巻が終わったところだけど、とても心がすさむ。おかしいなぁ、こんな酷い話だったかなぁ。まあ中学生には理解の難しい話ではあるよな。下巻に進むのが怖くなってきたよ。
★150
投稿日2023-11-29
のっち♬
近隣の屋敷の借り手として嵐が丘に挨拶に訪れたロックウッドは、古女中から住民たちにまつわる愛憎と復讐の物語を聞かされる。ヨークシャーの侘しく厳しい荒野は物語の荒々しさを隠喩するかのよう。屋敷や人物、家族構成など二つの家には徹底されたコントラストが敷かれているが、形成される人間関係も物語構成も実に入り組んだもの。復讐に執念を燃やすヒースクリフに加え、虚言を繰り返すエレンは得体の知れない怪しさがあるし、天真爛漫なキャサリンのつかみどころのない性質も本作を一層複雑怪奇なものにしている。歪んだ激情が吹き荒れる傑作。
★119
投稿日2017-08-06
ベイス
まさかこんなホラーな小説だとは思いもよらず。登場する人物誰一人にも共感できない、というなかなか稀有な前半。読ませる、ぐんぐん進む。ヒースクリフとは一体何者なのだ??
★90
投稿日2023-03-06
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